日本から中古車で世界を結ぶ
トライアンフィールドグループは、世界100カ国以上に年間23万台を超える中古車を輸出する専門商社だ。
トライアンフィールドホールディングス株式会社代表取締役社長の伊藤正起氏は「事業を通じて経済発展と人々の生活向上に貢献する」と語る。
私が代表を務めるトライアンフィールドホールディングス株式会社は、中古車輸出事業を営むトライアンフィールドグループの経営及び子会社
管理を目的として、2017年に設立されました。
当グループの中核を担う株式会社エスビーティー(SBT)の設立は、1993年。日本の中古車の輸出が本格的に始まった時期です。同社は、中古
車輸出専門商社の先駆けとなり、30年の歴史を刻んできました。今日では、グループ全体で年間23万台の中古車を100カ国以上に輸出しており、
海外拠点は30ヵ所、年間売上高は1850億円を超えるようになりました。中古車輸出業界の中でも、当社規模の専門商社は世界にもあまり例がな
いと思います。
日本国内では、ある程度の期間が経過したら新車を購入して乗り換えるという習慣があります。そのため、良質で安価な中古車が市場に常時投
入されます。これらの中古車は海外での需要が高く、私たちは、日本と世界の需要と供給を結ぶ橋掛け役を務めています。
自動車に関しては、国ごとに規制が異なり、ニーズもさまざまです。大きな括りでいうと、経済発展中の国では、実用的な車が庶民の足や事業
の要として活用されています。一方で、欧米などでは富裕層は、趣味や投資対象として、名車としての価値のある自動車を購入するケースも少
なくありません。そういったお客様のニーズをしっかりと捉え、お客様の用途に合った車をご提供し、満足していただくことが私たちの仕事の
要です。
販売における豊富な経験
以前は実家が中古車販売業を営んでおり、学生時代からこの業界に関心がありま した。アメリカの大学を卒業し、輸出事業に携わってみたいと思い、2005年に SBTに入社。ヨーロッパの営業担当を皮切りに、長く営業畑を歩むことになります。 2016年にSBTの代表取締役社長の任を賜り、2017年のトライアンフィールドホール ディングス設立と同時に、代表取締役社長に就任しました。学生時代に海外で学び、 その後もさまざまな国の仕事をしてきた経験から、各々の国の社会や人を肌で知り、 多角的な視点を持つことができました。それは、経営に役立つのみならず、仕事観、 人生観にも影響を与えています。現地で日本車が役立っているところや、購入してく ださった方の笑顔を目にすると、この仕事に携わってきてよかったと強く思います。 そして、今後もしっかりと人々のお役に立っていこうという決意が胸に広がるのを 感じます。 |
SBTに入社してからの20年弱の間に、会社は大きく成長しました。転換期となったのは、2008年のリーマンショックによる売り上げの落ち込みと
その後の急成長です。在庫価値の下落と流通の停滞により、一旦は危機的状況に陥りましたが、必ず回復するという仮説を立て、仕入れを再開。
これが功を奏し、2010年からの5年間で売上高が124億円から921億円に急拡大したのです。
この経験から、リスクを逆手に捉え前進する重要性と、困難な状況下でもチャンスを見い出すことの大切さを改めて実感しました。
サービスを通じた成長
当社は、「Smile and Happiness to All」という企業理念と、「持続的成長と発展を通じて社会 に貢献していく企業経営」という経営理念を掲げています。人の役に立ちながら、会社も成長し ていかねばなりません。成長することで、より多くの方の役に立つことができ、社員の活躍の場 も広がるからです。次世代のリーダーに求められることは、多様な視点と若い世代のアイデアを 取り入れ、会社を成長・発展させることだと思います。技術の進歩や社会の変化が一層激しくな っていくなかで、持続的な成長を続けるためには、多様性(ダイバーシティ)が欠かせないと考え ており、日本で働く社員の2割以上が外国人で、出身国は20国以上になります。さらには、テレ ワークの導入など働き方改革も進めています。 今後は、「ビジネスイノベーション」をテーマに、中古車輸出事業を主軸として更に領域を広げ、車と親和性の高い商材やサービス等の新規事業にも取り組みます。海外に築いたチャネルを生かし、車に限らず、日本の「良い物」「良い事」「良い文化」を世界に届けていくことも考えています。世界にはまだまだ貧富の差が目立つ国が多く存在します。事業を通じて、人々の生活の支援及び経済の発展に貢献することが、私たちの役割であり願いです。将来的な目標として、自動車専門商社から総合商社へと発展し、商社として日本を代表するグローバル企業になることを目指します。 |